「名もなき歌」も好きな映画ですが、ペルー映画というのはこんなのばかりなのだろうか。こっちはもっと好きです。
あらすじ、紹介を読むと、貧しくてどん底な青年の成長譚、成り上がるストーリーなのかなと思ましたが、最後の最後まで一切成り上がらず、チャンスのカケラもなく貧しいままで、一体どんな落とし前をつけて終わるのかとおもいきや、これかよ、これでいいんかい、というオチでズバッと終わります。
金もない、仕事もない、知り合いもいない、みんな彼を観て見ぬふりです。貧相で脆弱で無学で汚い青年はまるで汚物扱いです。誰も彼に関心を示しません。毎日何を食べて、どこで寝てるかもわからない青年は仕事を求めて街を彷徨い、気になった女性もちょっと後をつけるだけで何もせず、優しくて弱すぎて何も出来ず、ひとりぼっちの無一文のままラストシーンを迎えるが、最後の最後に行動したあれは、自分で考えうる究極のアイデアだったんだろう。何の役にも立たないと言われても、貧乏すぎでも、お金を稼いで芸術学校に行く夢を持っていた。
こういうストーリーは大好物です。
私も27歳くらいの時は275円しか持っていませんでした。通帳にそう刻まれています。
でも借金もなく、なんの不安もなく、空腹が当たり前でもポジティブでした。
だから昔の自分を観ているような作品が大好きです。彼には何もないけど、生きるひたむきさがあります。どん底でも、犯罪や裏社会と無縁です。