理由は知らないが20年も映画製作禁止令を出された監督は「これは映画ではない」という作品を作ったそうだが、それに続く作品らしい。自分がタクシーの運転手になって人を乗せて降ろしていくだけの話。これが映画になるのかというくらいいいかげんな作りだが、ドキュメンタリーではなくあくまでフェイクドキュメンタリーの手法だろう。それはアッバス・キアロスタミもおんなじだ。楽しくない、つまらなくもない時間が淡々と過ぎていくだけだが、かわいらしい姪の畳みかけるような会話や最後に乗せた人権派弁護士が雄弁に語ってくれることでこの作品の意図するところが定まった。厳格で理不尽な国家だが、知性ある人の意識は本当に高く、どこか皮肉で冷めておりユーモアを忘れない。果たしてこれが映画といえるのだろうか
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