余命わずかなシングルファザーが息子の新しい家族探しに奔走するというストーリーは悲しく切なく、宣伝には「感涙の傑作」と書かれているが、そこをアピールしてお涙頂戴する映画ではない。私にはハンカチは必要なかった。新しい家族に選んだのは一番正直な人だった。子供には父母がいる方がいいと言いながらそうしなかったのは、自身も両親の存在を知らず、父親としての記憶を残しておきたかったからだろうか。自分が同じ立場だったとしても同じ選択をしただろう。泣かすシーンや演出を省いたから余計に秀作といえる。「Still Life」という原題に「おみおくりの作法」というひどい邦題をつけ、この映画にも余計な事をした。原題は「Nowhere Special」です。
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