貧困にあえぐトルコの地を離れ、スイスへ向かう男と妻、幼い息子の“希望の旅”を描く。製作はアルフィ・シニンガーとペーター・クリスチャン・フューター、監督・脚本は「頑迷なタネール」のクサヴァー・コラー、共同脚本にフェリデ・シセコグル、撮影をエレメール・ラガリィ、音楽監修をマンフレート・アイヒャーが担当。出演はネグメットゥン・シバノグル、ヌル・シュレールほか。
1990年製作/112分/スイス
原題:Journey of Hope
配給:ギャガ・コミュニケーションズ(提供 テレビ東京=ギャガ・コミュニケーションズ)
劇場公開日:1991年9月7日
ストーリー
トルコ東南の小さな町マラシュ。35歳になるハイダール(ネグメットゥン・シバノグル)は妻メリエム(ヌル・シュレール)、7人の子供たち、年老いた両親とこの荒れた地に暮らしていたが、なかなか貧しい生活から抜け出せない。そんな時スイスへ亡命した伯父から「仕事もある。ここは天国だ」と記された絵葉書が届いた。心を激しく揺り動かされたハイダールは、反対する妻や両親を説得、スイス行きを決めた。彼は妻と7歳のメフメット・アリ(エミン・シヴァス)を連れイスタンブールへ旅立つが、旅券のトラブルからコンテナに身を隠しナポリへ密航、ナポリからは大型トラックに便乗しミラノへ向かった。最初この移民を胡散臭く思っていた運転手のラムゼル(マチアス・グネディンガー)も次第に心を開き、楽しい旅となったのも束の間、スイス国境で税関吏によりミラノへ強制送還される。途方に暮れる3人は密入国を手引きする怪しげな男の言うままに全財産を手放し、20人ほどの同胞と共にアルプスへ向かった。悪天候の中、案内も装備もないまま厳しい山中へ踏み込む一行。命懸けでスイス国境ににたどりつくが、警備隊に発見され逃げまとううち、ハイダールとアリは仲間とはぐれ、ついにアリが倒れてしまう。保護されたハイダールは密入国と息子を死なせた罪で拘置所に送られ、面会に来たラムゼルに「あなたと友達になりたかった」と呟くのだった。