“好きだ”の一言が言い出せない、高校生たちのひと夏の姿を描いた青春恋愛映画。監督・脚本は、PFFアワード92で「灼熱のドッジボール」がグランプリに輝き、94年度日本映画監督協会新人賞を受賞した古厩智之。第8回PFFスカラシップ、バンクーバー国際映画祭ドラゴン&タイガー・ヤングシネマ賞受賞、及びヴィエンナーレ国際映画祭、オルレアン国際映画祭、サンフランシスコ国際アジアン・アメリカン映画祭、香港国際映画祭、ウェリントン国際映画祭、オークランド国際映画祭正式招待作品。16ミリ。
1995年製作/95分/日本
配給:WOWOW=ぴあ
劇場公開日:1995年3月18日
ストーリー
緑濃いぶどう畑に彩られた、のどかな地方都市。いよいよ明日から夏休みという日、高校3年生のタローたちのクラスメートである陽子が北海道へ引っ越して行こうとしていた。記念のプレゼントを渡す前田。別れを冗談で軽くするアユミとフミエ。そんな様子を見て、「あっさりしてんな」と話すテツヤと内田。彼らの間を、ギプス姿のタローを最後までからかいながら陽子は駅へと走っていった。ところが、タローが家に帰るとなぜかその陽子が自分の部屋にいたのだった。陽子のおじいちゃんが突然、北海道へは行きたくない、と言い出したために、彼女が残って説得にあたることになったのだ。しかも、彼女がその期間寝泊まりするのは、タローの家のすぐ隣だという。その日から、屋根伝いに陽子は自由にタローの部屋にやってくるようになった。陽子に秘かな思いを寄せていたタローは、一度はその思いを伝えることを諦めていたのだが、陽子の再登場によって気持ちが揺らぎ始めていた。そして、陽子もそれを期待していた。だが、他の友人たちの気持ちも同様にざわめきだしていた。タローと同じように陽子を好きだった前田。陽子がいなくなったのを機に、タローに告白しようと考えていたフミエ。前田に思いを寄せているアユミ。短い猶予期間に、それぞれの思いが交差する。花火大会の翌日、ついに陽子とおじいちゃんが北海道へ発つ日、タローはその思いを告白する。しかし、陽子はその言葉を受け止めつつも、おじいちゃんの運転するトラックの荷台に揺られながら、故郷を後にするのであった。