ものすごくおぞましい内容だろうから、もうキム・ギドクはいいやとおもっていたが、「The NET 網に囚われた男」が素晴らしかったので鑑賞、なんだ、やっぱりキム・ギドクはいいじゃないか、どんなに人に嫌われても、私はキム・ギドクが合う。そんなにグロくもなく、相変わらずわかりやすいテンポでみやすい。半殺ししてでも搾取する高利貸し、闇金とわかっていても借りる人間のどちらが悪いのか個人的にはわからない。主人公は血も涙もない悪魔のようにみえて母性に触れるとメロメロとなり、すべてを知って自決する。そのストーリーは悲惨すぎるけど、抑えたタッチで美しく描ききる。ラストシーンは最高の悲痛なカタルシス、名シーンだ。こんなに痛くて美しいラストシーンは他にない。キム・ギドクは過剰にデフォルメされたマンガだ。リアルなふりをしたファンタジーであり、肉体的な痛みを描くのが大好きであり、こんなに極端な人物は現実にはいない。コンパクトにまとめるのが非常に上手い。そしてとっても切ない。
だからといって「メビウス」はみなくていいかな。
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