観て良かった
4.5
ストーリー
4.5
演出・テンポ
3.0
映像
4.0
音楽
4.0
心に残る
4.5

スウェーデン・デンマーク・ノルウェーというスカンジナビア半島合作映画のこれはなかなか深い話です。半島に共通するテーマなのだ。山間部に住むサーミ族は独自の文化や言語を持ちトナカイを飼育しテントで暮らす生活をしてきたが、観光目的では貴重な歴史の名残と保護されつつ、発達、知能に障害(違い)があるからと「お前らはずっとそこで昔の暮らしをしていろ、決して街に近寄るな」と言う差別を受けています。子供の学校もサーミ族だけ。学校では標準語を強制され、実験道具のように身体検査させられ、卒業しても進学することも職につくことも出来ません。テントに帰ってトナカイの世話でもしてろ、という扱いです。そんな境遇に反発したサーミの女の子が大脱走する物語です。老婆ではじまり少女で展開し老婆で終わります。サーミを捨てた深い懺悔の気持ちで老婆は胸が張り裂けそうです。これはそのまま日本のアイヌ族の問題と同じです。インディアンを駆逐したアメリカの問題や世界各地にある問題も同じです。役者ではない本物のサーミの女の子が主役を演じているので本物の凄みがあります。間違っているのは大衆、侵略者の末裔である私たちの方です。本当に悲しいです。

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