一流のファッション・デザイナーとして活躍していながらも、父の急死をきっかけに家業を断ぐ決意をした青年の姿を描く。脚本・監督は「危ない話」(第一話)の井筒和幸、共同脚本は旭井寧、撮影監督は同作の篠田昇がそれぞれ担当。
1990年製作/116分/日本
配給:大映
劇場公開日:1990年1月27日
ストーリー
機屋の父と対立して、一宮の地を捨てた良明は、一流デザイナーとしてその地位を築き上げた。しかし、父正蔵の急死の為に家にもどった良明は、後継ぎのことで兄一也と口論となりトップデザイナーとしてのプライドを捨て故郷にもどる決心をつける。東京にいる恋人の令子はそんな良明の身勝手な決意に不満を抱くが、もはや止めることは出来なかった。半月後、再び故郷にもどった良明は、そこで母君子が機織の機械を売ってしまったことを知り怒るが、逆に半月間何も連絡もせず突然もどってきたことを妹美紀から責められるのだった。それでも良明は機織が生き残れる道を必死に模索する。そうして友人佐久間や地元の有力者の助けを得て、若い野心的な地元実業家村山から良明のデザイナーとしての力量も生かせるようないい注文を受けるが、逆に村山にアイディアを盗まれてしまう。それでも負けじと今まで以上に奮闘し新しき道を築き上げようとする良明だったが、遂に過労の末、肺炎をこじらせてしまい倒れてしまう。そして病院に運ばれた良明は、家族が見守る中、静かに息を引き取ったのだった。